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1993年生まれ。江戸川区出身。写真家、仮面劇俳優、インプロバイザーとして活動中。人物ポートレート、人物スナップを得意とする。

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「谷川俊太郎がふってくる」
星空を見上げて、そのあまりの奥行に驚く。普段わたしたちが視認している星と星の間、そこからさらに数千光年先にごく小さく光星々があった。ずっとそこにあったはずなのに、まるで今日初めて現れたような産まれたての小さな星々。広くて、遠くて、大きな星空を眺めていたら、頭の中を谷川俊太郎じみた言葉が駆け巡った。
生きるということと宇宙をいつも繋げてしまう彼のことが一切わからなかった。だけど、相模湖から見上げた星空があんまり広くて、遠くて、強くて、呟いてしまう。「谷川俊太郎がふってくる」

明言しておくが、わたしはアウトドアに興味がない。きれいな空気は缶詰に入れてプレゼントしてほしいし、泥だらけになるのはいやだし、温かいお湯は正義だ。第一「ボルダリングしてるんだからアウトドア派でしょ」はカンチガイもいいところだ。ボルダリングはインドアスポーツですよ。だから「キャンプにいこう」と言われて断り切れなかったとき、ものすごくナーバスになってしまった。何故わざわざ苦労を買うようなことをするんだろう。ブーブーいいながら連れて行ってもらった相模湖で、結局信じられないくらいおおはしゃぎした。どんぐりを拾ってはしゃぎ、テントが立ってはしゃぎ、火が起きてはしゃぎ。キャンプいい!キャンプ楽しいよ!と10回くらいは言っていたと思う。

下町の商店街で、女性についてのささやかな演劇をします。
少しのことでも、自分が心から意味があると思えることをしたいなと思って生きています。

3人の女性の物語を即興で演じるショーです。
終演後アフタートークを行います。

物語におけるジェンダーバイアスについて、あるいは
身の回りでごく当たり前に起こっている出来事について考えます。

▼公演日程
日程:2017年12月13日
   開場18:30 開演19:00~(1時間程度)
場所:墨田区キラキラ橘商店街内 キラキラ会館(東京都墨田区京島3丁目52−8)
料金:無料

▼キャスト(順不同)
大川原脩平
下村理愛
江戸川カエル
マイキー(東京コメディストア:D)
内海隆雄(第三インプロ研究室)
黒田愛美(INNERSPACE)
戸草内淳基(Platform)
石巻遥菜(Platform)

【The Bechdel Testとは】
映画のジェンダーバイアスを考えるのに「ベクデルテスト」というものがある。

①名前がついている女性が2人以上登場するか?
②その女性同士が会話をするシーンがあるか?
③その会話の内容は、男についての話以外であるか?

アリソン・ベクデルの漫画に出てきたキャラクターが「これをパスする映画しか見ない!」と話している場面から「ベクデルテスト」と名付けられた。たった三つの簡単な条件だが、このテストをパスする映画は多くはない。インプロの舞台でも同様に、このテストをパスできる公演は多くはない。インプロでは、実社会よりもステレオタイプなキャラクターづくりに陥りやすいという性質上、「医者」や「先生」と聞こえれば袖で男性がスタンバイをする。そこで女性が出てくると、生徒や患者と恋に落ちるシーンになる。男性との間で上司役になったりすると、聞こえないふりされたり、陥れられたり、殺されたりする。

The Bechdel Testとは、ベクデルテストをパスするインプロを作るべく、BATSのリサ・ローランドが生み出した新しいインプロフォーマットのことだ。このフォーマットでは、3人の女性主人公が出てくる。その3人の人生のスナップショットを追っていくことができる。終演後にはアフタートークがあり、観客とプレイヤーが感じたことや思ったことを話す時間が設けられる。

「え?社会人だったんですよね?」と新しい職場で驚かれた。いわゆる、電話対応もできないのか、という意味での驚きだった。わからなくても「わかりません」と電話をきってはいけませんよと当たり前の、だけどわたしには出来なかったことを丁寧に教えてくれて、なんとなく大人になった気がした。

昨日書いたように、松山で飛行機を逃しかけた時、わたしはゲラゲラ笑っていた。そうして隣にいるリナも、ゲラゲラ笑っているものだと思っていた。わたしと同じようにドキドキハラハラをすっかり楽しんでいる、と思っていた。そう、思い込むべきではなかった。
松山から帰ってきて、わたしは体調を崩した。松山での疲れ、というよりはそれを文章化するのにエネルギーを使った。あまり眠れずに翌朝写真をとりにいって、夕方熱を出した。リナは熱を出さなかった。かわりに、鬱状態になって毎日泣いて過ごしていた。そのことを聞いたのはもう4日も過ぎてからで、それまで思い当たりもしなかった。
飛行機を逃しかけたとき、ゲラゲラ笑うわたしの傍らで、リナはたぶん落ち込んでいた。「誰かがなんとかしてくれる、ではダメで、しっかりした大人になりたい」とあとで聞いたとき驚いた。わたしは自分で飛行機の時間を見もしなかった。「リナがなんとかしてくれる」とまさに思っていて、挙句飛行機を逃しかけた時もゲラゲラ笑っていた。あと2分、リナが気づくのが遅かったら、本当に逃していた。タクシーの中でわたしは、本当に逃したらすぐに飛行機がとれるのか、取れない場合どこの温泉にはいろうか、考えていた。

なぜか二人とも2時出発のつもりでいて、スイーツを食べるための店探しをしていた。ついでに空港までのルートを探索して、「え?あれっ!!!!」なんとあと1時間で飛行機が出ることがわかる。全力疾走、タクシー、チェックインは30分前で締め切られてしまうから。久しぶりに全力で走った。間に合ったチェックインカウンターでゲラゲラ笑いながら抱き合った。あと3分もあったね。スリル満点の松山出張、お土産はひとつも見られなかったけれど1年分のドキドキ感が味わえた。

しばらくオフのない日々を送って、気づいたら風邪をひいてしまった。久しぶりの体調不良。鼻水がとまらないし喉もいたい。こんな日はゆっくり寝ようと思っているのに、布団に入ると「あれもしなきゃ」「これも」と次々におもいついて部屋の空気を掴みながら眠ってしまう。変な夢をみた。眠っていたら本棚から小人たちが出てきて、枕の上でささやく「ああ、そうだなそうしよう」「でも納期は明日だぞう」「よし!こいつを奉納しよう」わたしの髪の毛をわさわさと担ごうとしているが重くて持ち上がらないようだった。小人たちはなんの納期に追われていたんだ。