180107
ベランダで、セミの抜け殻を踏んだ。チャリという音と足の感触で「セミの抜け殻を踏んだ」と思った。もう1月なのに、今更どうしようというんだろう。足をそっとあげると、そこには何もなかった。わたしは確かにセミの抜け殻を踏んだのに。見えていないから踏んだはずなのに、キャラメルポップコーン色のものを見た気すらした。わたしが踏んだのは間違いなくセミの抜け殻だった。
昨日はそれから、1日フワフワしてしまった。見えない抜け殻から出たセミもきっと見えないのだと思った。吐く息も白いのに、見えないセミがそこかしこで鳴いていた。
写真:BEBERICA『What’s Heaven Like?』より