171103
土砂降りの朝。家から白のビニール傘をもって出た。土砂降りでも丈夫な65センチ径。雨は一日降ったりやんだりだった。夕方ボルダリングジムに寄る。傘立てには黒い傘が一本ささっていた。ちょうど土砂降りだった。みんなどうやってきたのかしら、と思ったら何人か濡れていた。折を見て隙を見て濡れずに済んだという人もいた。リハビリ、のつもりがすっかり3時間もいてしまい、傘立てには黒い傘と白い傘、それから透明なビニール傘。白い傘をとって外に出る。歩き始めて骨がひどく折れていることに気が付いた。それに、金属が黒かった。私の傘は銀色だったのに!!誰かが取り違えたようだった。折れた傘を差しながら悲しい気持ちで歩く。
家の人たちにおつかいを頼まれてセブンイレブンに寄った。傘立てには傘が一本。セブンイレブンで子供が走り回っていた。牛乳とトマトジュースとサンドイッチを買って外に出ると、傘立てには傘が一本もなかった。未だ霧雨が止まず、そのなかを歩く。家を出た時は新しいビニール傘だったのに、一日のうちに折れて、ついにはなくなってしまった。歩きながら考える。折れた傘を差していた誰かは、今頃わたしのあたらしい傘で濡れずに済んだろうか。傘を持たない誰かが、この霧雨を折れた傘でしのいでいるのだろうか。信号が、テールランプが、自転車が、雨にけぶってキラキラ滲んでいた。雨をしのいだ彼らは、このキラキラが見えただろうか。