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1993年生まれ。江戸川区出身。写真家、仮面劇俳優、インプロバイザーとして活動中。人物ポートレート、人物スナップを得意とする。

今日は、少し真面目に書きます。
「どうして集合写真で展示をやろうと思ったの」
やっぱり聞かれることが多かったので、いま、言葉にできる範囲でしてみようと思います。

“集合写真”は、おそらく、みなさんの想像する”作品としての写真”とかけ離れています。
だって誰でも普通に撮るし、facebookでもよく見かけるし。

だけど、そんな”集合写真”には、わたしにとっての写真のすべてが詰まっています。

ひとつは、関係が映り込むわかりやすい写真だからだと思います。
“その人たち”がどんな時間を経て集まったのか
“その人たち”がどうして集まったのか

ひとつは、撮る瞬間自体が楽しいからだと思います。
はいはい、こっちむいてー!
どうしても目をつぶってしまう人
ちょっと恥ずかしかったり、疲れていたり
みんなで撮るのも楽しかったり

それから、集合写真は基本的に、見返す前提で撮られます。
数年後、あるいは数十年後見返したときのことを想像すると、ワクワクします。
赤いべべ着たあの子はもう、セーラー服を着ているな
こんな同級生いたなあ、あの頃はよく遊んでいたのに、あだ名は確か”社長”だったな
このあと二人が結婚するなんて
なあんだ、たいして変わらないメンツでいるなあ
あっという間だったと思うのでしょうか、ずいぶん昔だと思うのでしょうか。

見返した瞬間の、一瞬タイムスリップする感覚がたまらない。

集合写真には、時代、時間、瞬間、関係、その時の気持ち、楽しさも居心地の悪さも気恥ずかしも、見返すであろう未来も全部、写ってしまうと思うのです。ごちゃごちゃしていてドロドロしていて愉快じゃないですか。
そこにいるのが見ず知らずの他人であろうと、その愉快さを感じてもらえるんじゃないかと思って、展示を組み立てました。

CherryRedで展示をやってみて、よかったと思うことがあります。
CherryRedと他の多くのカフェギャラリ―との違いは、Cherryには、ほぼ毎晩通われているお客様がいらっしゃることです。おうちに晩御飯を食べるように、お店に帰ってくる。

“はじめは集合写真なんかって思ったけどさ、通ううちに賑やかでいいなあって思うようになったよ”

もしかしたら、自分も通ってきた似たような時間に想いを馳せるのかもしれない
もしかしたら、自分が選ばなかった人生に想いを馳せるのかもしれない
もしかしたら、彼らがあまりに楽しそうで、羨ましかったりほっとしたり

“多様な時間”を経て集まった他人の写真を、毎日みて、その日たちと数週間を経て、過ごしてこなかったはずの”多様な時間”がだんだん染みついてくれていたのかな、なんて、これは奢りですね。

展示も最終週に突入しましたが、自分のワクワクが未だにうまく言葉にできずに。
ラスト一週間、ご来場お待ちしております。