150628
中学生の頃だったか。はじめてアポトーシスのことを知った夜は、怖くて眠れなかった。細胞の数はいつも一定に保たれている。身体を生かすため、毎日何万もの細胞が自殺しているなんて。このからだがわたしのものなのは確かなのに、細胞のひとつひとつの意志が汲み取れない。そんなこと頼んでない!!と叫びそうだった。帰りのバスで腕を見つめて『もしも辛いなら生きていたっていいんだぞ』とささやいたけど、結局今日まで、わたしの身体に異常はない。アポトーシスのことを考える度に、からだとわたしの繋がりがわからなくなる。わたしは指ではないように、わたしは脳でもない。知らぬ間に自殺を繰り返す腕の表皮は、わたしといえるのか。きっとみんな怖くて眠れなかった筈なのに、普通に生きていけるようになる。かくいうわたしも、ずっと忘れていたんだ。