150611
バイトへ向かう道すがら。殴られたのか、道に倒れている女と怒鳴り声をあげ女をゆすり起こす男と遭遇した。本当は角を曲がる前から声は聞こえていたけれど、バイトに向かうわたしの足のルーティーンは止められず曲がってしまった。見てしまったのだ。するすると通りすぎざま、男と目があう。「大丈夫ですか」と声をかけると「大丈夫です」と男にやさしく笑いかけられた。大丈夫なわけがなかった。見てしまったんだもの。なにもできず、そのまま通り過ぎる。背中で怒号が響く。次の曲がり角からバイト先に電話をかけた。警察に電話をします、だから遅刻をすると思います。震える手で、何度も警察の電話番号を間違える。やっとかかった時には、もうマスターが来てくれていた。声の出ないわたしにかわって電話をしてくれる。白バイは3分で来てくれた。おまわりさんは、怖くて好きじゃない。わたしを守ってくれるとしても、それでも。いつからか、おまわりさんに後ろめたい気持ちになって苦しかった。なにも悪さをしていなくても、悪さを思いついただけで捕まる気がした。でも昨晩だけは、白馬の王子様に見えたんだ。