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1993年生まれ。江戸川区出身。人物ポートレート、人物スナップを得意とする。東京学芸大学表現コミュニケーション選考卒業。

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もう10年以上前、江戸川家両親をヘビースモーカーからノンスモーカーに変えた名著『禁煙セラピー』を読んだ。苦しかった。読んでいる間ずっと苦しかった。わたしはしっかり知っていたから。「どうして煙草を吸うのか」「理由なんてない」が禁煙セラピーの答えだった。けれど、わたしが煙草を吸っている理由は、昔、先生に言い当てられたことがあった。当たっていたかどうかはわからないし、そんなの間違いだと今から覆すことだってあるいは。でもそれが出来ないくらいには、自分に自信がない。現に、煙草のおかげで、過度のピアッシングをやめられたのは間違いがなかった。ちゃんと知っていた。わたしがやめられないのは、煙草じゃなくて自傷行為だ。リストカットをするかわりに、ピアッシングのかわりに、過拒食のかわりに、逸脱した性行為のかわりに、暴力のかわりに、オーバードーズのかわりに、煙草に火をつけていた。そのことは社会で生きていくうえで、わたしにとってはどうしても必要なことだった。それがニコチン幻想だとはどうしても信じられなかった。煙草を吸う前は、身体に生傷が絶えなかった。暇があれば献血した。ピアッシングもしたし、毎日はがしてしまって6年以上治らないかさぶたがあった。
大人になりたいと思った。煙草はやめなくてもいいと思った。でもせめて、ファッションでも気晴らしでもニコチン大好きでもなんでもいい、健全な理由をもちたかった。理由が見当たらないなら、その時やめればいいと思った。
もう少しな気がする。もう少しでそういう日がくる気がする。もしもその時がきたら、「今までありがとう、もう大丈夫、ひとりで歩いていけるよ」そう言ってライターを捨てたい。