Info

1993年生まれ。江戸川区出身。写真家、仮面劇俳優、インプロバイザーとして活動中。人物ポートレート、人物スナップを得意とする。

Posts from the 撮影 Category

遺影撮影の依頼受付を開始いたしました。
対象:遺影をつくりたい方、どなたでも
金額:1.5万~2万よりご相談(撮影地により変動)
詳細はお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

―――――――――――――――――

わたし自身も先日遺影を用意したのでその話を。
わたしが、わたし自身の遺影を用意しようと思った理由は2つある。ひとつめは、愛する人たちにわたしが幸福だと伝えるため。そしてふたつめは、遺影がお守りになると思ったからだ。

自分の死と、親しい人々がそれをどう受け止めるのかについて考えるとき、なぜかクジのことが思い出された。クジとはキャンプでマシュマロを焼きながら哲学の話をする程度の仲を、かれこれ12年続けている。細く長い付き合いだ。クジは笑い上戸で、飄々としていて、教養を無駄遣いしながらいつもお腹を抱えて笑っている。こう書くとふざけた人間だと思われるかもしれないが、わたしにとってのクジはそういう人間だった。細い付き合いだから直接見ることがなかっただけかもしれない。でも、クジの強い正義感も責任感も勤勉さも努力も涙も、あったであろう苦しさも、わたしの中では笑い声でしか思い出されない。そういうところを尊敬している。愛している。だから、おこがましい祈りだとわかっていても、わたしの遺影を見たクジは、笑っていないとだめなのだ。クジがお腹を抱えて笑ってくれる遺影でなくてはダメだった。クジが全力で「なんでだよ!どういうことなんだよ!」と笑いながら詰れるわたしにしようと思った。そうして、自分の死をそういう風に考えられる今が、かけがえのないほど幸福だと思った。現実感がないくらい生きるつもりでいた自分にびっくりした。クジやその他友人たちは、ひどく刹那的なわたしのことをすごく心配してくれていたように思う。自分からどんどん孤立していくわたしの手を、ギリギリ離さないでいてくれた人たちばかりだ。そんな人たちに囲まれてわたしは随分明るくなったし、幸せだ。
そしてここからが「お守り」の話。
こんな遺影を用意したからには、あがいて生きなければならないと思った。これをクジが大笑いできるのは、わたしが間際の1秒ギリギリまで色んなことを諦めなかったときだけだと思った。いつ死んでもおかしくない、いつ死んでもいいわたしは、笑ってもらえない気がした。この写真はモデルをしている美術教室で、クラノさんに撮ってもらった。クラノさんとは「マリファナが解禁するまで生き延びようね」と約束している。わたしの愉快な友人たち。愉快な友人に囲まれて、なんちゃってヴィーナスの恰好をしている愉快な遺影。いつか、近いのか遠いのかわからない未来、この遺影を囲む友人たちがあがいて生きたわたしのことを大笑いできるように、それまでわたしは生きなくては、その決意のお守りに。

2019年3月撮影 江戸川カエルが遺影にする予定の写真

先月イリノさんの遺影の依頼を受けて、恥ずかしながらはじめて「写真に写る」ということを考えた。わたしは今まで、ずっとカメラを持つ側だったため、「撮る/撮られる」ということしか考えたことがなかった。尊大だ。わたし自身の遺影を用意しようと思ったとき、はじめて、そこには祈りがあり意図的に写真に「写る」のだということに気が付いた。イリノさんにもイリノさんの祈りがあった。写真を撮ることでは、その祈りに寄り添うことしか出来ない。だけど、その作業は思ったよりずっと楽しかった。だから、これからももっとこういう写真が撮れたらいいな。ご依頼お待ちしております。


“IMPRO KIDS TOKYO”のPRビデオを作成しました。

IMPRO KIDS TOKYO
「子どもも大人も一人の人間」をキャッチフレーズにインプロをコミュニケーションの学びの選択肢として家庭や教育現場に提案していくために活動している。2018年、下村理愛を発起人として誕生。