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1993年生まれ。江戸川区出身。写真家、仮面劇俳優、インプロバイザーとして活動中。人物ポートレート、人物スナップを得意とする。

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2018年4月25日、蔵前4273にて「ザ・ベクデルテストのためのワークショップ」を行いました。

ワークショップでは、軽いウォーミングアップから始め、ベクデルテストの本編を実際に体験してもらいました。

―やったこと―
名前を言うゲーム
ポートキー(「といえば」「○○の時代に連れて行きます」)
ベクデルテスト本編
ステータス
侮辱ゲーム
アフタートーク

本編を進めるうえで、必要だったゲームをいくつか途中ではさみました。
今回のワークショップを得て、わたしが感じたことをあげていきます。
●”OL”の呪い
モノローグを終えた47歳の中川みきさんに職業と年齢を尋ねると、「47歳、旅行会社でOLをしています」と答えた。その後、参加者と一緒に、みきさんが働いている様子を想像してみた。中川さんは会社の中でどんな立ち位置で、どんな仕事をしているのだろうか。
嘱託、派遣の事務、企画部のボス、店舗のトップ。47歳で、仕事をしていれば、企画部のボスになっていてもおかしくない。だけどわたしは、このチョイスをごく意図的に行った。何故なら、なんとなく「旅行会社でOLをしています」という言葉から自然に、企画部のボスを連想することは難しかった。OLという言葉は死語になりつつある(し、そうであってほしい)オフィスレディという響きからは、なんとなく単純事務作業やお茶汲みをする姿が連想される。
横浜公演を経て、それが今までの普通であろうがなかろうが、ありたい世界を描くことを志向すると決めることが出来たので、今回は中川みきさんに素敵なボスをやってもらった。アフタートークでは参加者から「親の世話をしながら働く女性に対して、なんとなく低い地位を連想してしまったけれど、これが自分のバイアスだと思った」という言葉が出た。実は、その想像はわたしにとっても自然なものであった。今回のワークショップファシリテーションでは、”自然であること”と”あってほしい世界”であることを自分の中で区別して、徹底的に後者を選んでいきたいと思って臨んだ。

●「ヒール」をやるのも楽じゃない
今回は日常的にインプロをしている、男性インプロバイザーの参加者が多く、わたしには想像もつかなかった意見をもらった。
「女性がやり返してくれると思えば、安心してヒールをやることができる」
確かに、今までのインプロショーで、女性と男性のシーンで、男性がヒールに徹するシーンは少ない。何故なら、お客さんは、「女性インプロバイザーが言い返せないのに、いじめをしていると受け取るんじゃないか」とか、とにかくひたすら、見ている人も演じている人も嫌な気分になるシーンになってしまう恐怖があったからだ。
このことで、ふと思いついたことがあった。既存映画の中の、スーパーハイステータスな女性主人公は、ヒーロー以外の型がある。サンセット大通りや、ヘルタースケルターなど、しばしば半ば怪物として描かれている。時には男を食らい、殺す。フランケンシュタインや男性を怪物として捉えた映画では、怪物たちのステータスは決して高くないのに、なぜだろうと思っていた。その理由はここにあるのかもしれないと思った。ハイステータスな女性が男性を嬲るところはファンタジーとして消化できても、その逆は不愉快で見ていられないから(少なくとも簡単には女性の目に触れない場所でしか)作られていないのかもしれない。(あと、怪物的な女性が女性を貶める理由は今までいつだって男のことばかりだったなとも思う)(このことはもう少しゆっくり考える)

●女性に対するステータス
男性インプロバイザーからの振り返りで、「女性といるとき僕はステータスを下げることが出来るけれど、あげてなきゃいけないと思っていたり、下げられない人も多いかも」という衝撃の意見を貰った。

※わたしのためのおぼえがき
「ヒール」からの流れで、女性と男性のシーンで、女性が怪物化せずにステータスをあげるためには、現状バーフバリゲーム2が必要不可欠だと思った。
ステータスワークはもう少し丁寧に説明しよう
コンタクトインプロの後で背中がとても柔らかかったので、わたしの声がよく出ていてとても気持ちよかった

当日の動画(全編)です。

作品情報:
仮面劇「京島長屋のロミオとジュリエット」
THE MASK THEATRE Romeo & Juliet in the row house

日時:2018年3月31日(土)13:00〜、14:00〜、15:00〜
会場:京島長屋(東京都墨田区京島3-62-7この先行き止まりの路地入ル)
料金:無料
上演時間:10〜15分程度
※屋外の路地にて観覧

原作:ウイリアム・シェークスピア
構成・演出:福田寛之
出演:内海隆雄、江戸川カエル、下村理愛
制作:仮面劇おもて
協力:京島長屋82日プロジェクト

いがみ合う両家に生まれたロミオとジュリエット。二人は舞踏会で出会い恋に落ちた。ジュリエットはバルコニーでロミオへの想いを語ります。ロミオはジュリエットに会おうと屋敷に忍び込み、二人は逢瀬を果たします。
イタリアのヴェローナから墨田の京島へ。土地と時代は変わっても恋する若者たちは変わらない。消えゆく長屋を舞台にした仮面劇「京島長屋のロミオとジュリエット」
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路地にて、カニを配る少年

今夜、愛の話をしよう

日時:6月2日
   16:30~/19:30~
(各回100分前後を予定)

料金:1stage2000円+1drink
   2stage3000円+1drink
   (学割)alltime1500円+1drink

場所:高円寺グリーンアップル

予約:ご予約はお問い合わせフォーム及び出演者ツイッター、フェイスブックイベントページにて承ります。

出演:江戸川カエル(仮面夫婦)
   内海隆雄(第三インプロ研究室)
   忍翔(劇団しおむすび)
   住吉美紅(Platform)
   だいら(劇団しおむすび)
   高見次郎(Tottoria)
   むらし(タピストリ)
出演者紹介はこちら

スペシャルミュージシャン:
シンガーソングライター瑜伽陽介

優しくて、あたたかくて、寂しくて、ちょっぴり切ない7人で愛の話をします。出てきたエピソードから、即興でシーンを作っていく、トーク×インプロ×ミュージックショー。

【インプロとは】
即興演劇。あらかじめ決められた設定や脚本がないなかで、舞台上でうまれたアイディアやお客様からいただいたアイディアをもとにシーンを作っていく。

仮面劇「京島長屋のロミオとジュリエット」
THE MASK THEATRE Romeo & Juliet in the row house

日時:2018年3月31日(土)13:00〜、14:00〜、15:00〜
会場:京島長屋(東京都墨田区京島3-62-7この先行き止まりの路地入ル)
料金:無料
上演時間:10〜15分程度
※屋外の路地にてご覧いただきます。
※雨天時は室内にて即興仮面劇上演を行います。

原作:ウイリアム・シェークスピア
構成・演出:福田寛之
出演:内海隆雄、江戸川カエル、下村理愛
制作:仮面劇おもて
協力:京島長屋82日プロジェクト

いがみ合う両家に生まれたロミオとジュリエット。二人は舞踏会で出会い恋に落ちた。ジュリエットはバルコニーでロミオへの想いを語ります。ロミオはジュリエットに会おうと屋敷に忍び込み、二人は逢瀬を果たします。
イタリアのヴェローナから墨田の京島へ。土地と時代は変わっても恋する若者たちは変わらない。消えゆく長屋を舞台にした仮面劇「京島長屋のロミオとジュリエット」

【アクセス】
京島長屋(東京都墨田区京島3-62-7この先行き止まりの路地入ル)

東武亀戸線:小村井駅(徒歩7分)
京成押上線:京成曳舟駅(徒歩11分)
東武スカイツリーライン:曳舟駅 (徒歩14分)
東京メトロ半蔵門線:押上(スカイツリー前)駅徒歩16分

みなとみらいにオープンした卓球と映画のお店のNTL(中目黒卓球ラウンジ Yokohama Bay Cafe)とのコラボイベントです。お誘いあわせの上お越しください。

日時 2018年4月7日(土)
  4月22日(日)
Start 19:00~/19:40~/20:20~

20分間のオムニバス形式で3ステージ行います。

料金・チャージは一切ありません。投げ銭制となっております!
投げられるだけのお金を持って来てください!
みなとみらいの夜景と海の見えるおしゃれなカフェで美味しいお酒と共に即興演劇ライブを楽しみませんか?

【アクセス】
みなとみらいより徒歩4分
NTL 中目卓球ラウンジ Yokohama Bay Cafe
〒231-0011 神奈川県横浜市中区新港1丁目3番1号マリン&ウォークヨコハマB202

3人の女性の物語を即興で演じるショーです。
終演後アフタートークを行います。

物語におけるジェンダーバイアスについて、あるいは
身の回りでごく当たり前に起こっている出来事について考えます。

日時:2018年3月24日(土)14:00〜、17:00〜
場所:WAKABACHO WHARF 若葉町ウォーフ
料金:2000円
予約:下記フォームよりご予約ください。
https://www.quartet-online.net/ticket/thebechdeltest

出演:
江戸川カエル
下村理愛
直井玲子
方瀬りっか
松延弥生
鎌田麻衣子
内海隆雄
野村真之介
高尾隆

【The Bechdel Testとは】
映画のジェンダーバイアスを考えるのに「ベクデルテスト」というものがある。

①名前がついている女性が2人以上登場するか?
②その女性同士が会話をするシーンがあるか?
③その会話の内容は、男についての話以外であるか?

アリソン・ベクデルの漫画に出てきたキャラクターが「これをパスする映画しか見ない!」と話している場面から「ベクデルテスト」と名付けられた。たった三つの簡単な条件だが、このテストをパスする映画は多くはない。インプロの舞台でも同様に、このテストをパスできる公演は多くはない。インプロでは、実社会よりもステレオタイプなキャラクターづくりに陥りやすいという性質上、「医者」や「先生」と聞こえれば袖で男性がスタンバイをする。そこで女性が出てくると、生徒や患者と恋に落ちるシーンになる。男性との間で上司役になったりすると、聞こえないふりされたり、陥れられたり、殺されたりする。

The Bechdel Testとは、ベクデルテストをパスするインプロを作るべく、BATSのリサ・ローランドが生み出した新しいインプロフォーマットのことだ。このフォーマットでは、3人の女性主人公が出てくる。その3人の人生のスナップショットを追っていくことができる。終演後にはアフタートークがあり、観客とプレイヤーが感じたことや思ったことを話す時間が設けられる。

12月13日、東京都墨田区キラキラ会館和光会館にて、The Bechdel Test 東京初演に出演しました。

(ザ・ベクデルテストの説明は、文末につけたのでわからない方は先に読むことをお勧めします)
今回はMC、サポートとして出演しました。
公演後考えたことや、稽古中に考えたことなど時系列がごちゃごちゃになっていますが、そのまま書きます。

●そこにいるのは”恋愛をしていない”人なのか
本番前のリハーサルで、わたしたちはベクデルテストをパスできなかった。厳密にいえば、まったくパスできなかったわけではないが、終盤で、1人の男をめぐる2人の女性のはなしになってしまった。
本番終演後の振り返りで、他の人のシーンで恋愛をしていると、引っ張られて恋愛してしまう、もしくは「恋愛をしていない人」でいてしまう、という話がでた。これは女性に限らず男性プレーヤーも感じた、とのことだった。
プレーヤーとしての実感では、すごく共感できる。でも、同時に不思議に思った。わたしが写真に没頭しているとき、踊りに没頭しているとき、インプロをしているとき、わたしは確かに恋愛をしていない。だけどわたしはそういう時わたしは、”恋愛をしていない人”ではなく、”写真に没頭している人”だ。だって、自分では”恋愛をしていない”なんて考えもしないから。
先日『海賊とよばれた男』(2016,日本)をみた。出光の創業者の伝記映画で、登場人物たちは石油を輸入し会社を大きくすること、日本をよくすることに燃えていた。仕事に没頭している最中、彼らはそういう自分に悩むことがない。ただひたすら、仕事のための次の一手を考えていて、彼らの葛藤は、会社の実力と理想の間にあった。そして、葛藤がそれだけであるということに、映画としては違和感がなかったようにわたしは思う。もちろん、実際の人間はたぶんもっと繊細に出来ているので、もっとくよくよしたりもしたし、妻のことを考えた時間もあったのではないか、と思った。だけど、リアルでないことと、物語として違和感がないことは別のことのように思う。仮にこれが女性主人公の物語であれば、ものすごい違和感があるのではないか。仮に女性版の仕事映画ができたとしたら、彼女は恋にも悩むだろうし、”女性として仕事を続けていくこと”にも悩むはずだ。それを抜いた映画は違和感でいっぱいになるように思う。
仕事映画の女性版を考えた時に真っ先に浮かんだのは『プラダを着た悪魔』(2006,アメリカ)だった。確かに、メリルストリープは仕事に情熱と愛をもった人物であったが、同時に映画後半で”家庭を犠牲にした人”として描かれていた。そしてそのことに葛藤をもっていた。彼女は”仕事に愛をもった人”ではなく”家庭を犠牲にして仕事に愛を向けた人”なのだ。
『海賊とよばれた男』の男たちは、たぶんメリルストリープばりに働いていたし、家に何日も帰らない描写も見られた。それはむしろ美談として描かれていたように思う。だけど、メリルストリープは”家庭を犠牲にした人”だし、アンハサウェイは”恋愛をしていない人”なのだ。
わたしたちがシーンのなかで”恋愛をしていない人”になってしまうのは、もしかしたら、既存の女性が主人公の映画や物語では、”恋愛をしていない”という見方をあまりにされがちだからかもしれない。

●子どもになる理由
ザ・ベクデルテストにおいて、わたしは子供の役を選びがちな傾向にあった。傾向にあるというか、松山での稽古も含めた全5回、子どものシーンをひとつはやっている。本番でも、みゆきの幼少期の友人として出た。今回、その理由のひとつかもしれないことに思い当たった。
東京初演ではあまりに優秀なストーリーテラーが揃った稽古のなかで「ストーリーを作ろうとしない稽古」をした。稽古の帰り道、考えたことがある。もしストーリーを作ったらどうなるか。
もちろん、これは男性主人公の物語でも言えることだけれど、人物がストーリーの奴隷になってしまう。実際の感情や機微はともかく、前に進むために葛藤を無視したり、実際の人生でもよくあるような日常の一場面を作らなくなる。
そういったことの他に、こと、ザ・ベクデルテストにおいては、ストーリを作ろうとするとベクデルテストをパスし辛くなる、ということがあるのかもしれない、と思った。女性主体の物語で、ミュージカルやオペラに見られるボーイミーツガール以外のものだと、パッと思いつくのは『秘密の花園』(1911,アメリカ)などのビルドゥングスロマンだった。日本で言えば『西の魔女が死んだ』(1994,日本)など。
「名前のついた女性ふたりで会話をし」「かつ男のはなしではない」シーンとして、これらの小説の印象がわたしのなかでとても大きかったことに気が付いた。もしかしたら、わたしがすぐに子どもとして入ってしまうのは、ベクデルテストをパスする方法として、これが一番有効だと思っていたからかもしれない。
逆に言えば、そうしなければパスできないと、どこかで思っている部分もあるのかもしれない。大人のわたしは、今でも、女友達と夢の話をしているのに。次回以降このことにチャレンジしたいと思った。

●想像すること
今回は稽古で、モノローグで名前をつけたあと、一度、その女性がどこで笑っているか、どこでステータスが高いか、どこで虐げられるのか、など、その人のことを想像する時間を作った。これが楽しくもとても難しいと感じた。わたしには想像できなかった。神棚をもつ女性がどこでどんな風に笑うのか、何を幸せと感じるのか。なんとなく一度、カルトで根暗なイメージを持ってしまった人に対して、そういう想像をするのはすごく難しかった。
今回の公演をおえて、わたしたちはインタビューの必要性を感じた。もっと沢山、聞いてみたいと思った。あなたがどこで笑うのか、泣くのか。そういうことを考えること自体に、まだあまり慣れていなかったし、考えるための引き出しが少なすぎるように思えた。どんな女性にも、ほんとうはもっとあるはずだ。”恋愛をしていない人”でも”母親として”でもない瞬間が。そういう瞬間をもっと、もっと知りたいし、光を当てていきたい。

【ザ・ベクデルテストとは】
映画のジェンダーバイアスを考えるのに「ベクデルテスト」というものがある。

①名前がついている女性が2人以上登場するか?
②その女性同士が会話をするシーンがあるか?
③その会話の内容は、男についての話以外であるか?

アリソン・ベクデルの漫画に出てきたキャラクターが「これをパスする映画しか見ない!」と話している場面から「ベクデルテスト」と名付けられた。たった三つの簡単な条件だが、このテストをパスする映画は多くはない。インプロの舞台でも同様に、このテストをパスできる公演は多くはない。インプロでは、実社会よりもステレオタイプなキャラクターづくりに陥りやすいという性質上、「医者」や「先生」と聞こえれば袖で男性がスタンバイをする。そこで女性が出てくると、生徒や患者と恋に落ちるシーンになる。男性との間で上司役になったりすると、聞こえないふりされたり、陥れられたり、殺されたりする。

ザ・ベクデルテストとは、ベクデルテストをパスするインプロを作るべく、BATSのリサ・ローランドが生み出した新しいインプロフォーマットのことだ。このフォーマットでは、3人の女性主人公が出てくる。その3人の人生のスナップショットを追っていくことができる。終演後にはアフタートークがあり、観客とプレイヤーが感じたことや思ったことを話す時間が設けられる。
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