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1993年生まれ。江戸川区出身。写真家、仮面劇俳優、インプロバイザーとして活動中。人物ポートレート、人物スナップを得意とする。

友達が中絶したその日、お腹に猫を飼い始めた。お見舞いにいったのに、わたしのほうがひどくお腹を壊して中座。声が出ないくらいいたくて一時間以上、立川のトイレにいた。やっとの思いで家に帰る。横になり回復したなと外出準備をすると痛い。諦めて終身準備。眠れない。翌朝、水をたくさん飲んで少しおさまり、お腹がすいたので納豆を食べたらぶり返した。横になるとお腹がグルグルなっている。ガスがたまっているのかもしれない。お腹をおしてみる。グルグルゴロゴロ鳴る。授業も行きたかったし、ボルダリングにだって行きたかった。ツナパスタが食べたい気持ちだったしお腹は依然すいている。我儘な身体にイライラして、中絶した友達のことが頭をよぎった。さして落ち込んでもいなかった。先日出産したばかりの友達と娘と手術帰りの彼女と、4人でお茶をした。どんなことよりも暫く安静にしなくてはならないことと腹痛がひどいことを嫌がっていた。散々慮っても他人事だから、だけど、少し怖かった。彼女のなかで掻き出されたのは医療廃棄物であって命ではなかった。そう見せていただけかもしれない。そうしなくてはならなかったのかもしれない。どちらかといえば、そう見せていただけだと、わたしが信じたかった。痛みと思い通りにならない身体、グルグルゴロゴロ。他人事と軽んじているから、だからわたしは、お腹に猫を飼い始めた。